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「Happy birthday.啓人」
ベッドの中、私を裸の胸に抱きながら私の頭に顎を乗せ、目を閉じている啓人にそっと囁きかけた。
目を閉じているだろうけど、きっと寝てはいないだろう。
私のむき出しの肩をそっと撫であげて、
「サンキュ」と啓人は目を閉じたまま、小さく笑った。
お誕生日おめでとう。
今日と言う日を一緒に迎えられて嬉しかった。
そしてその特別な夜を、例えかりそめの相手としてでも私を選んでくれて嬉しかった。
何だか私の方がプレゼントを貰った気分よ。
神様
彼に出逢わせてくれてありがとう。
啓人。
私にはじめての感情をたくさんありがとう。
そして―――この世に生まれてきてくれて、
ありがとう。
私はたくさんの“ありがとう”を込めて、啓人にそっとキスをした。



