溺れる。


歳若いオトコに、みっともないほど溺れてる―――



そんな感覚があった。


啓人にキスをされるとまるで深い水の底に引っ張られるような、意識が遠のいていきそうで…


それでも私はもっと深い場所を見てみたくなる。


啓人の熱い舌を自分の舌で感じると、まるで砂漠の中に咲いた一輪のサボテンのようになった気分で、灼熱の太陽を眩しいと思うけれど、


それと同時にもっと太陽に近づきたくなる。




彼に触れられると―――


この世界には永遠が存在するのだと勘違いをしてしまう。



ドン




遠くの方で花火の上がる音がして、啓人の唇が離れていった。




「花火だ…」




啓人がちょっとだけ窓の外を見たので、横たわったまま私も同じように窓の方に視線をやった。


深い瑠璃色の空に―――まるで蛍光塗料を吹きかけたような鮮やかな光がきらきらと舞っていた。


「ゴージャスね。あなたへのお祝い?」


少しだけ笑うと、啓人は苦笑をもらした。


「まさか。ただの偶然だ。どっかで祭りでもやってるんじゃない?」


「お祭り?時期外れじゃない。絶対あなたへのお祝いよ」


一歩も引かずに言い返すと、啓人はまたも笑って私の手を引っ張り私を起き上がらせてくれた。


そのまま肩を抱き寄せられ、二人でベッドから花火を見上げる。




「だとしたら最高の祝いだな。綺麗な花火に、隣にはイイ女。さいこーじゃん」