トントン…
突如遠慮がちのドアをノックする音が聞こえて、
「失礼します」と女性が一人顔を覗かせた。
彼女の顔を見て―――私は息を呑んだ。
アヤコ―――………
アヤコさんは私たち三人を見ると、眉を吊り上げた。
「ちょっと!啓人!!あんたが何でこんなところに居るのよ!ここは女性用よ!とうとう真正面から変態になったのね」
アヤコさんは怒鳴りながら、私たちの元に大またで近づいてきた。
私も萌羽もびっくりして…萌羽なんて泣き出しそうになっていたのに、アヤコさんの剣幕に涙が引っ込んだようだ。
当の啓人は―――と言うと、降参と言うように両手をちょっと挙げている。
「紫利さんが心配でね」
「紫利さん……」アヤコさんが口の中で私の名前を復唱して、そしてはっとしたように私を見た。そして慌てて勢い込む。
「大丈夫ですか?」
急に声を掛けられて、私の方が戸惑った。
「………え、ええ」
「大丈夫じゃねぇよ」啓人は苦々しげに表情を歪めると、声を低めた。
アヤコさんは啓人の言葉を無視して、
「結構な染みになっちゃいましたね。事情は大体お察しました。本当にごめんなさい」
悲しそうに眉を寄せ、深々と頭を下げた。



