Addict -中毒-



自分がひどく惨めだった。


アキヨから啓人が本気でないことをまざまざと思い知らされ、おまけにパーティーの雰囲気を壊した。


ため息をつきながら―――


会場から一番近いお手洗いの洗面所で布巾をちょっと濡らすと、私はワインが零れた痕をちょっと叩いた。


「……だめね。これぐらいじゃ取れない」


大きくため息を吐いて洗面所に手を突いていると、鏡に萌羽の姿が映った。


「……姉さん…」遠慮がちにお手洗いの出入り口から顔だけを覗かせている。


「萌羽、どうしたの?あなたまで抜けたら大変じゃない」


「姉さんが心配で……。大丈夫、少し様子見たら戻るつもりよ」と萌羽は力なく笑って私の元まで歩いてきた。


「会場の方はどうなってる?」さりげなく聞くと、


「あっちは宴を再開してるわ。何事もなかったかのように。アキヨも楽しそうにしてるし」と言ったが、最後の方アキヨの話題になると萌羽は忌々しそうに唇を噛んだ。


そして私の足元にしゃがみ込むと、


「やっぱ染みになっちゃってるわね。クリーニング行きかしら」とちょっと表情を歪めて裾を掴む。


「これを買った呉服屋にお願いするわ。替えの服を持ってきておいて良かった」


宿泊する予定だったから当然と言えば当然だけど、でももうパーティー会場には戻れない。


「ママに謝っておいてくれる?あとから私がちゃんとお詫びするから」


「………ええ」と萌羽は目を伏せて、それでもゆっくりと立ち上がった。


私は萌羽から目を逸らすと、





「罰が当たったのかしらね。蒼介が居ながら、あんな若い男と―――


アキヨが怒るのも当然だわ」






と力なく言葉を漏らした。