Addict -中毒-



「でもやっぱり正直気に食わないですね。若造が、って思います」


村木さんは真顔になってちょっと啓人の方を睨んだ。


「だからかな、彼を見るとどうしても嫌味を言いたくなる」


「分かりますわ」私もいつも棘だらけの嫌味を言うくちだから。


何かあの飄々とした態度と顔を見るといっつも憎たらしくて、意地悪の一つや二つ言いたくなる。



私は微笑んで、村木さんに頭を下げた。


「楽しいお話をありがとうございました。お仕事がんばってください」


村木さんはちょっとぎこちなく笑顔を浮かべると、一礼して違う群に入っていった。


笑顔の浮かべ方まで蒼介に似ていて、あたしは村木さんにちょっと親近感が湧いた。




彼はきっと―――ひどく不器用なだけだ。




私がおかわりのシャンパンを貰おうと、ウェイターに近づくと、あたしがシャンパンを受け取るより一歩早く、


「どーぞ」と低い声が聞こえ、あたしの手にシャンパングラスが手渡された。


顔を上げなくても分かる。―――彼の気配が。


彼の香りが。体を密着していないでも、背中から体温が伝わってくるようだ。


「お話は終わったの?」私は彼の方を見ずにそっけなく言った。


「終わった、終わった~」と彼は軽く言って、私の前に回りこんでくる。


私がちょっと顔を上げると、言葉とは反対に啓人の顔はちょっと険しく曇っていた。


「どうしたの?」そう聞き終わらないうちに啓人は、


「村木と何話してた」と強い口調で被せてきた。


私はちょっと呆れたように肩をすくめて見せると、


「ちょっとした世間話よ。特に込み入った話はしてないわ」と低く答えた。


それでも啓人は疑いの目で私を見下ろしてくる。