Addict -中毒-



結婚してから2年、蒼介は忙しいと言っては研究所に籠りきり。


白金にある立派な一軒家にもあまり帰ってこず、その代わり長男の家でお世話になっている姑がしょっちゅう家に来た。


「見ない着物だね。また新しい着物かい?蒼介のお金を無駄遣いして」


今日の着物は小豆色の上品な手書き色留袖。腰から足にかけて地色に映えるような白い鶴の模様が施されている。


それをじろじろと無遠慮に眺めながら、今年75になる姑はねちねちと嫌味を言ってきた。


「これは独身時代の私の蓄えで購入したものですわ」


と振りまきたくない愛想を浮かべて、私は姑に紅茶を出す。


よくあるじゃない?会社のOLが嫌な上司に雑巾をしぼってお茶を出すって。


あれをやりたくなるのよね。もちろん、そこまで底意地が悪いわけじゃないけれど。





「イギリスから取り寄せたお紅茶ですの」


本当はスーパーで売っている1パック250円の安物。私ができる嫌がらせはせいぜいここまで。


姑はそれをおいしそうにすすって、それでも






「独身時代の蓄え、ね。どうせ誰かからの貢物でしょうに。汚らわしい。

水商売の女が教授夫人とは。死んだ蒼介の父親が嘆き悲しむわ」






としっかり嫌味…というか、悪口?を言い放ち、私を睨む。


私はそんな睨みもにっこりスルー。




私はこの姑の相手をして、趣味の良い高級家具たちに囲まれ、一人寂しく夫の帰りを待つ。


結婚して安らぎを手に入れたかったのに、現実は






退屈でつまらない。