上野が教師になってから1ヶ月が過ぎた。

生徒たちと関わりを持ちたいという上野の熱意の前に、教師の業務が波のように押し寄せる。

瀬野を知るどころか、まともな会話もないまま1ヶ月が過ぎてしまった。



その日はとても暑かった。

連日降り続いた雨が嘘のように、澄みきった青空が広がっていた。


上野は職員室の窓から空を見ていた。


「空が空見てる~。」


隣から聞こえるつまらない洒落にすこしムッとしながら振り返る。


「杉田先生……。」


呆れたように呟いた上野に、隣の男は薄っぺらい笑顔を向けた。

この1ヶ月間、机が隣同士というだけで寒くなる洒落を聞かされ続けた上野は、わざとらしく大きなため息を吐いた。