職員室の中でも教室の中でも、工藤風子のことを口にする者は誰一人いなかった。 それが暗黙のルールだと感じていた。 重たい荷物を背負っているのも、生徒たちを見ていると和らぐ気がする。 生徒たちは工藤風子という存在がまるで最初からなかったように、いつもと変わらない毎日を過ごしている。 冗談を言い笑い合って、時にぶつかり合うことがあっても、すぐにまた笑顔を浮かべる。 そんな生徒たちに、松本は何度も救われていた。