瀬野は呆れたように小さくため息を漏らすと、上野に鋭い視線を向けた。 上野が次の言葉を考えていると、タイミングよく予鈴のチャイムが鳴った。 「ほら、授業始まるから戻るぞ。」 そう言った上野に対し、瀬野は無言で出入り口へ向かって歩き出した。 その後を追うように上野も屋上を後にした。 2年1組の教室の前、ドアに手をかけようとしている瀬野に上野は声をかけた。 「いつも昼休みはあそこにいるのか。」 瀬野は相変わらずの鋭い視線を上野に向けると小さく頷いた。