Glacial HEART [短編]




「綺夜の風邪なら、移ったっていい。」



湊都は私の頬に手を添えたまま言う。



「綺夜は弱くなんかないよ?すごく優しいし、すごく強い。」



「そんなこと…」



「俺に気なんて使わなくていいのに…。言ったよね?もっと甘えていいんだよ、って」



私はもう十分
湊都に甘えてるよ…。



「もっとわがまま言っていいし、もっと俺を頼ってよ!」



ぐっと手に力が入るのがわかる。



「俺は傷つかないから。だから、もっと思ったことを言っていいんだよ!?」



そう力強く言ってくれた湊都に、私はまた泣けてしまって。



「湊都、傷付いてないの…?」



「うん。俺より、綺夜が心配。綺夜は…大丈夫?」



「私は、湊都がいてくれればそれでいいもん…っ」



また泣く私の頭を優しく撫でてくれた。