「えっ…」
きょとん、と私を見る女の子。
私はにこっと笑うと
「ほら!もう泣かないの!お姉ちゃん困っちゃうでしょ?もうおうち帰れるからね?」
と男の子に言った。
そして、女の子の頭に手を乗せて
「弟をちゃんと守れるなんて、かっこいいじゃん!ちゃんとおうち帰るんだよ?」
と言ってあげた。
自分だって泣きたかっただろうに、頑張って弟を守ってるのが微笑ましかった。
「うん…。でも、おねえちゃんはぬれちゃうよ?」
傘を握りしめて、不安そうに聞く女の子。
「大丈夫だよ、私は!じゃあね」
と言って、私は雨の中歩き始めた。
後ろで
「ありがとー!」
と聞こえた気がした。

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