「湊都はさ…。」



「え、あ、はい」



私が急に話し出すから、なぜか敬語の湊都。



「明日から私を他人だと思って って言ったら実行出来る?」



私はまっすぐ湊都を見た。
湊都の口の動きが止まる。



「私は出来る。…ううん、出来てた。湊都に会うまで。」



人と一定の距離をいつも保っていたのに。



「湊都は優しくて…怖いの。
こんなこと言ったら、うざったいかもしれないんだけど…。」



湊都にはちゃんとわかっていてほしいから。



「優しくされると、その分離れていくことを考えちゃって…。今日みたいに、傷つけることばっかり言っちゃって。」



私は自分を守るために、あなたを傷つけた。



「手を繋いでくれたことも、おかゆも…全部嬉しいけど、同じくらい怖い。」



その思い出が、また私を縛りつける。



「優しさを受け取れないなんて終わってるよね?…でも、湊都にはわかっててほしくて。」



私が信用できる湊都だから。