「湊都はさ…。」
「え、あ、はい」
私が急に話し出すから、なぜか敬語の湊都。
「明日から私を他人だと思って って言ったら実行出来る?」
私はまっすぐ湊都を見た。
湊都の口の動きが止まる。
「私は出来る。…ううん、出来てた。湊都に会うまで。」
人と一定の距離をいつも保っていたのに。
「湊都は優しくて…怖いの。
こんなこと言ったら、うざったいかもしれないんだけど…。」
湊都にはちゃんとわかっていてほしいから。
「優しくされると、その分離れていくことを考えちゃって…。今日みたいに、傷つけることばっかり言っちゃって。」
私は自分を守るために、あなたを傷つけた。
「手を繋いでくれたことも、おかゆも…全部嬉しいけど、同じくらい怖い。」
その思い出が、また私を縛りつける。
「優しさを受け取れないなんて終わってるよね?…でも、湊都にはわかっててほしくて。」
私が信用できる湊都だから。

![Rainbow Love Story [短編集]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.761/img/book/genre1.png)