「ごちそうさま」
と私はきれいに完食した。
湊都が買ってくれた薬ものんで、湊都はそろそろ帰ろうかな なんて言ってる。
帰ってほしくない。
ずっと一緒に居たい。
それに、まだ大切なこと話してないし…。
そこで、引き留めようとしたんだけど。
「湊都…。」
「ん?」
「帰っちゃうの…?」
「うん、もう1:00だしね?」
「そっか…」
行かないで の言葉が言えない。
言ったら本当に、戻れなくなってしまいそうで。
「帰ってほしくないー?なんて♪」
「……。」
湊都は冗談で言ったんだろうけど、私は何も言えなくて。
「あれ?綺夜?おーい!」
何も言わないで俯いてる私を見てわざとらしく呼びかけてくる。
私は覚悟して、ベッドの布団をぎゅっと握りしめて言った。

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