話しかけてみようか、と思ったが意外にも先に声をかけてきたのは彼女だった。
とは言ってもまた独り言のように
「擦れた景色だわ。」
と言っただけだった。
今日は少し変な覚悟をしてきたため、応えてみることにした。
『それなのに君はいつもこの景色を見に来るんだね。』
すると心外そうな顔をして返事をくれた。
「あなたこそ、いつもここにいるのね。もしかしてあなたも私にラブレターでも渡しにきたの?」
どうやら彼女は少々自意識過剰な節があるみたいだ(笑)
しかし完全には否定しきれない、僕がいた。
なぜならその彼女がいう"擦れた景色"とやらを背景にした彼女が輝いているように見えたからだ。
僕は、すでに彼女に恋をしてしまったらしい。
まるで静希の言うとおりじゃないか、チクショウ。

