「ごめんね…拓ちゃんの気持ちに

答える事はできへん…


私の中ではずっと拓ちゃんはあの日のまま

可愛い弟でしかないねん…


それに私には今好きな人がいてる!

その人に気持ちが伝わるかも解れへんけど

この気持ちを大事にしたいねん


拓ちゃんにはきっと可愛い

運命の人が現れるよ!

こんなに素敵なんやもん…」


黎子は真琴こそが

拓の運命の相手だと感じていた


拓の真っ白になった頭の片隅にも

真琴の面影が浮かんだ


拓は今度は泣いてはいない

当たって砕けて悔いはなかった


「ありがとう…でも俺って情けねぇ!

黎子さん苦しめてばっかりやな~」


「ううん~嬉しかったよ!

オバサンもまだまだイケるなって…」


二人は笑った


「最後に一回だけチューして!」

と拓が唇を突き出す


「ダメ~!!!」

黎子は拓の顔を手で阻止した


こんな冗談が言えるほど

落ち込んではいなかった


辛い失恋にはかわりないが

これは拓にとって黎子からの


“卒業”だった