目の前にいるのは、わたしの知ってる奏さんとは別の人。 朦朧とした意識の中、奏さんはワイシャツを脱ぎ捨てて上半身裸になった。 「どこの馬の骨かわからないヤツに盗られてたまるかっ!」 切なげな吐息をもらし、わたしを跨ぐようにして耳元に顔を寄せた。 「―――俺のものだ」 おまえは誰にも渡さない。愛してるんだ。 わたしの頬にキスをする。 愛してる?奏さんがわたしを? 奏さんが……?