若恋【完】

奏さんがわたしに特別な想いを寄せてる？
そんなわけがない。
わたしがケガしたから面倒を見てくれただけで、きっと責任を感じてるだけで…

それに第一、大人の奏さんが高校生の子供のわたしなんかを相手にしないにきまってる。
榊さんと仁さんが思い違いをしてる。そういうと、

｢では、若にはだまっていることにしましょう。若の気持ちがわかりますよ｣


榊さんの慎重な声に仁さんが助手席で小さく頷いていた。

榊さんや仁さんの勘違い。思い違い。
わたしはそう思っていた。