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シャワーを浴びて体に何の痕もないのを確かめて新しい浴衣を羽織った。
奏さんが誂えてくれた藍染めの浴衣に、髪を巻き上げてピンで留める。
一階のテラスから出て、奏さんが待ってる中庭の白い小さな花たちの脇を下駄で歩いていく。
「奏さん?どこ?」
奥に進んで行くと浴衣姿の奏さんが池のそばに佇んでいた。
シャワーを浴びたのか、前髪が濡れて雫が滴っている。
「奏さん?」
宵の口の中庭は虫の声で賑やかになってた。
「りお、そっとこっちに来てみな」
囁き声でわたしを手招きした。
包帯を巻いた左手を差しのべて、そっとわたしの手を取る。



