「奏さん、あの…」
「ん?」
振り向いた顔はどこか寂しげで。
「奏さん、あの。今日は本当にごめんなさい…」
せっかくの花火大会を台無しにした上に、奏さんまで怪我をさせてしまった。
仁さんだって、榊さんだって必死で探してくれた。
もしもみんなが来てくれなかったらどうなっていたかわからない。
「ごめんなさい…」
真っ直ぐに奏さんを見ているうちに涙が込み上げてくる。
泣いちゃダメ。
泣いたら奏さんを困らせるだけなのに、周りが滲んで見えなくなった。
瞬きしたらきっと―――
「俺が悪かった」
滲んだ視界の中で、奏さんが立ち上がりわたしのいる戸口のところまで来て頬を撫でた。
「怖い目に遭わせたな」
「…奏さんのせいじゃないから」
「ひとりで怖かったろ?」
怖かったろ?
そう告げられた刹那、涙がポロリと奏さんの指に落ちた。



