祈る。
奏さんの痛みが自分の痛みに重なるように。
痛いのはわたしじゃなくて。
―――奏さん。
あなただから。
「りお、止めるな」
「だって、奏さんの手が、」
「かまわねえ。おまえを傷つけた奴等は許すわけにはいかねぇ」
抱きついたわたしの腕を滑らし外す。
「なんでそこまでするの?わたしは無事だったよ?」
どうして奏さんが傷ついてまでそうするのかわからなくて戸惑う。
出会ってまだ数ヶ月のわたしにどうしてそこまで優しくしてくれるの?
奏さんの眉がピクリと動いた。
「…りお」
奏さんの細かく震えたくちびるの端から、赤い血を指で拭った。
「奏さんのくちびる切れてる…」



