そして、わたしのお父さん、お母さんが玲央の名を呼んだ。
一也さんも前広さんも拓也さんも、みんなが玲央の名を親しみを込めて呼ぶ。
―――玲央
みんなに呼んでもらえるその名前を大事にしてね。
親しみを込めて呼んでもらえる自分を大切にしてね。
わたしがあなたに出会うまでには本当にいろんなことがあったんだよ?
普通の高校生だったわたしが偶然ヤクザの抗争事件に巻き込まれて怪我して奏さんと出会って。
怪我が治ってからも奏さんと暮らして。
愛情をたくさんもらって。
わたしが拐われたり、奏さんを奪還しに龍神会へ乗り込んだり。
目の前で為す術もなく命が消えていく様をみたり。
裏の世界のことも、決して目を反らしちゃダメなんだって。
観ていかなきゃいけないんだって、奏さんといてそう思ったんだ。



