コンコン
ガチャ
「りおさん、皆さん、準備が整いましたので下へ」
榊さんが呼びにきてくれてわたしも立ち上がった。
「奏さんは?」
「若は別室で名前を書いてました」
「名前?」
「命名をするので」
榊さんが小さく微笑んだ。
「坊っちゃんにどういうお名前をつけるのでしょうね」
「わたしに似た名前がいいなって言ってたけれど…」
名前は男の子なら奏さんがつけるって決めていた。
女の子なら、ひらがなでつけてってわたしが頼んでいた。
わたしがひらがなの名前だしとても気に入っていたから…
「どんなお名前にするんでしょうねぇ。楽しみです」
お母さんから奏さんそっくりな赤ちゃんを抱き取り、スヤスヤ眠るその顔を見つめた。
「奏さんはあなたにどんな名前をつけるんでしょうねぇ」
―――名前
どんな名前がこの子に授けられるのか―――



