候補はいくつかあったけど、最終的には奏さんがどの名前にしたのかわたしもわからない。
わかってるのは、わたしに似た名前をつけるんだってことだけ。
「りおさんも知らないのかあ」
お母さんは残念そうだった。
「留恵、名前はもうすぐわかるじゃないか」
残念そうにソファーに座ったお母さんをお父さんが宥めた。
「だって、知りたいんだもの」
「どうせ、すぐわかるんだから」
「まあ、そうね」
留恵さんは持ち前の明るさを取り戻した。
コンコン
ドアがノックされて仁お兄ちゃんが顔を出した。
「りおに手紙だぞ」
「…わたしに?」
手紙がくるなんてわたしがここにいるのを知ってるのは幼馴染みの樹くらいだ。
でも樹からは手紙が来ることなんてないだろう。
「わたしに?」
「ああ、中国にいる桐花さんと桃花さんからだ」
「!」



