奏さんの背中に容赦ない力が入っていく。
またミシリと音がする。
「言え、誰に頼まれた?」
冷たい声に最後の質問だってわかる。
「言わないならこの腕を折る」
力をいれようとした瞬間。
「わかった!言う!」
やけくそで黒ずくめが叫んだ。
力を入れていた腕を奏さんがゆっくりと放した。
「おまえは何者だ?なんで俺の子を狙う?」
黒ずくめは諦めたようにゆっくりした動きでサングラスを抜き取り、顔の大きなマスクを外し、帽子を脱いで床に投げた。
奏さんが床に落ちたナイフを拾い上げ自分の背中に隠す。
「俺はあの女が産んだガキを始末したかっただけなんだよ!おまえのガキなんて知らない!」
不貞腐れたように廊下に座り込むと奥に伸びている順子さんの方を睨んだ。



