身軽になった黒ずくめが腰から小さな何かを取り出した。
パチンと開き、わたしから見えた物。
サバイバルナイフ!
「なっ!」
きゃあっ!
周りの若い女性たちが悲鳴を上げてそれぞれの部屋に身を隠した。
奏さんの背中はブレずにそこに在る。
「ナイフ出したからって俺がビビると思ってんのか?」
嘲る笑いで奏さんが一蹴した。
「俺を本気で怒らせたの後悔すんなよ」
黒ずくめが繰り出してきたナイフを軽く足で蹴り飛ばし転がったナイフを掴もうとしたその腕を奏さんが捻りあげた。
「うああっ!」
痛みに絶叫する。
「言え、誰に頼まれた?」
更に力を入れて捻りあげると、ミシリミシリと鈍い音がした。
「そんなの知らない!」
「これでも言わないのか?」



