ふたりが出ていくと、



「痛いよぅ」

素直に奏さんに甘える。

奏さんの腕の中はいつだって極上の甘さがある。

わたしといる時だけの甘さ。




「もう少しだ、りお。がんばれ」

奏さんはわたしの髪を優しく撫でて、お腹を擦る。


スイカのようにポンとしたお腹の中には奏さんの赤ちゃん。

もうすぐ会える赤ちゃん。



二神先生は生まれてくるのを楽しみにしてなさいって性別を教えてくれなかったけど、

みんなもわたしも、そして奏さんも生まれてくる赤ちゃんを心待ちにしてる。




「絶対に男だな」

陣痛が始まる前まではお腹の中で暴れてボコボコしていて、あまりの暴れん坊に奏さんは勝手に男の子だと決めつけていた。



「りお、丈夫な子を頼むぞ」

「うん」

「歩けるか?行くぞ」



立ち上がるわたしに手を貸した奏さん。