「じゃあ、わたし桐花さんと桃花さんのところに戻ってるね」

「そうだな、その方がいい」

少し疲れたように目を伏せた。

「仁、りおを頼むぞ。目を離すと何を仕出かすかわからないからな」

「…なんだか酷い言われようね」

「若はりおさんを心配されてるだけですよ」

拗ねたわたしを宥めようと榊さんがポケットから何故かキャンディーを取り出した。

「榊さんわたしを子供扱いをしてる」


「だって子供だろうがよ?」

「そんなに膨れっ面をするとますます子供だって思われるぞ」

「そんなことありませんよ。りおさんは子供なんかじゃありません。若を想う素敵な女性です」

「!」


榊さんの口から出た歯が浮くような台詞に顔が赤くなった。



「やだな、榊さん」

榊さんの背中を照れ隠しに触れたら、奏さんがわたしのその手を掴んだ。



「―――奏さん?」