「これ………」 「俺の気持ちはおまえと出会ってから変わってない。迷いなんてない」 「奏さん…だけど、」 どう言っていいのかわからない。 奏さんとわたしだけの問題じゃないのがわかるから。 わたしの家族は奏さんをとても信頼してる。 だけど、…奏さんの家族は? 「―――今夜、おまえを連れていきたいところがある」 「どこへ?」 「俺の家に」 ―――俺の家に? 「俺の生きる世界に連れてく。おまえを、…おまえと腹ん中のガキを」 そう決めたんだ。 「親父に会いに行く」