奏さんがひとりで外出してもいいって言ってくれたから堂々と出かける支度をして、それから奏さんが座っているソファーごと抱き締めた。



「じゃあ買い物に行ってくるね」

「ああ、気を付けてな」



わたしを肩越しに振り返り額にキスを落とす。

「行ってくるね」



手を振って二階から降りて玄関へ。



「あれ?りおさんひとりでお出かけですか?」

「あ、毅さん」

「珍しいですねぇ」

毅さんが目を丸くしてわたしを呼び止める。



「護衛をつけた方が…」

「いいの。すぐ帰ってくるから」



心配をしてくれる毅さんにもごめんね。
でもひとりでどうしても行かなきゃいけないところがあるの。


「いいの。買い物したらすぐ戻ってくるから」


毅さんの申し出をやんわりと断る。



「じゃあ…行ってくるね」


仁お兄ちゃんにも引き留められないうちにと屋敷を飛びだした。



ふう。