12月の北国を甘くみてたかな。
昨日は寒気とかしなかったんだけど。
油断したかなぁ?
「ハックション」
「ほらまた鼻水だ」
仁お兄ちゃんがわたしの鼻をテッシュで摘まむ。
「で。その医者というのは男か?」
突然奏さんが運転手に訊いた。
「小児科、内科の女医さんです」
奏さんの凄みのある眼力に負けたのか運転手の声が小さくなった。
「ならいい。その病院に連れてってくれ」
ホッとしたように息をつき、奏さんはわたしの肩に自分の上着を掛け抱き寄せた。
「医者なら男でも女でもいいじゃないか?」
「男にりおの裸を診られてたまるかよ」
「は?医者は体を診るのが商売だろうが。
医者が男だったら診せたくないってんだからまったく」
「若はりおさんにベタ惚れですもんね」
呆れ顔をしている仁お兄ちゃんと弱り顔をしてる毅さん。



