追っ手が来る前にとにかく離れて奏さんの元へ。

走ってるつもりでもケガをしてる榊さんと一緒で無理も効かない。

気持ちだけが逸る。

早く早く。


「奏さん!」

叫ぶと同時に丸眼鏡さんがガクリと膝をつく。

息が荒くて脂汗が吹き出してる。

「かまわないで、このまま置いてって、…ください」

「できませんっ!」

置いていけるわけがない。わたしたちを助けるためにこんなになってるのに。

奏さんとみんなでここからでるんだから!

「榊さん、鍵を開けて」

「わかりました」

一番奥の部屋の前で、ここですか?と榊さんが尋ねると目を細めながら丸眼鏡さんが頷いた。

「ここですね?」




     奏さんがここにいる?



「りお!」

ドアを開けた途端に奏さんが真っ青な顔をして私を抱きしめた。