「見たらだめです」 榊さんの右手がわたしの視界を遮り、もう片方で耳を塞ぐ。 「見てはいけません」 ―――足が震える 吐き気がする。 頭の中に警告音が鳴り響く。 血が沸騰してるような、ドクンドクンと胸が脈打ってる。 ひとを殺めたりしちゃだめだよ! そう思うのに、体も動かせない。声も出ない。 まるで誰かに催眠術でもかけられているように体は石になってしまってて… ズシュ。 鈍い音がした。