―――射たれる! 咄嗟に榊さんの前に飛び出したわたしを丸眼鏡の初老の紳士は、 「あなたじゃないからそこを退きなさい」 と、柔らかく笑った。 え? わたしたちを撃とうとしていたんじゃないの? 「わたしが用があるのは、龍さん、あなたですよ」 薄い笑みを浮かべた丸眼鏡の紳士は静かにそう告げたのだった。