数メートル歩いて、

ピタリ

榊さんが足を止めた。



「後ろに立たれるのはあまり好きではないので、出てきてもらえませんか?」



―――え?
わたし?


「丸腰できてるわたしたちにまさか後ろから襲うなんてことはなしですよ?」

榊さんがゆっくり振り向くと、わたしの後ろに向かって言った。

足音も聞こえなかったけどそこにはいつの間にかゴツイふたりが立っていた。


「いつの間に…」

「殺気は隠すものですよ。ああ、でもちょうどよかったかな。龍さんのところまで案内してください」

後ろから着いてくるのではなく、前で。



「ちっ」

舌打ちして苦い顔をしてごつい顔をしたふたりがわたしを睨みながら脇を通り過ぎる。


「りおさん、震えてますね。怖いですか」

「こ、怖くなんかありません。む、武者震いです」

小刻みに震える手指を握りしめて、また背を向けて歩き出した榊さんの後をついていく。