左腕の骨折手術痕にキス。右の小指にキス。 そしてくちびるを啄む。 「俺の腕の中にだけいろ」 全身に新しい傷がないのを確かめて、奏さんの体がわたしの内に沈んで小さく呟く。 「あいしてるんだ。おまえを誰よりも」 奏さんの腕の中で幸せな言葉を聞いた。 ありがとう奏さん…… そうして、わたしはいつまでもその腕の中に包まれていた───