榊が窓の外を見て肩を揺らして笑う。
榊の視線の先は薄く積もった雪を集めて、雪だるまを造っているふたりだ。


「榊にもたしか妹が 」

「―――ええ、いました。わたしが高校の時に亡くなりました」

そうだった。聞かない方がよかったと後悔してももう遅い。

「事故でした。いいえ、わたしが妹を殺したようなものです」

「!!」

「言い方が悪かったですね。ただの事故です。そばにいたのに守ってやれなかった。その妹にりおさんが重なるんです」

りおさんを見ていれば仁が現れてなつくのもわかるんです。そして、仁がりおさんを大事に思うのもわかります。

「………」

「まあ、若の心中は穏やかではないとわかりますがね」

ちらりと榊が俺を見る。

榊に『嫉妬』と指摘されて納得できないが、確かにりおが仁と話をしているのを見るとおもしろくない気持ちにはなる。