「前広、この娘の持ち物を頼む。その中に学生手帳かなんか入ってねえか?」 目の前の人の声にもう一人の人がわたしのカバンから手帳を取り出した。 「若、ありました。連絡しますか?」 「ああそうしてくれ。いや、待て。後で俺がする」 抱えた人がそう言ってわたしの額に浮かんだ汗を優しく拭った。 「あんたの家族には必ず連絡を入れる。悪いようにはしねえから、もう少しだけ待っててくれるか?すぐに車が来る」 抱き抱えたその腕は優しくて熱い。