盲目の少女 〜私の見える世界〜



ほかの4匹はチョロチョロと
動き回ってるけれど、

その子だけは、じっとこちらを
向いている。


5匹の中で一番体が小さくて、
黒色。


「…この子にする。」


ゆっくりとその子を抱き上げた。



大人しくて、
吠えもしない。


ただとても短いしっぽだけを
ふりふりとゆらしてる。



「かわいいね。その子でいいの?」

「うん。この子でいい。この子がいいの」



「海輝ちゃん、その子は末っ子で、
一番生まれてくるのの時間がかかったの。

弱々しくて、立つのも一番遅かったの。


でも、この子が一番努力して
ほかの子みたいに強くなろうとしてる。


きっと、その子が一番たくましく
育つと思うわ。」




“その子は末っ子で、一番生まれてくるのに…”



やっぱり、
聞いたことあるセリフだ!!