私と水菜が付き合って数日たつ。
それなりに仲がいいと思う。
お互い家に行ったり、遊びに行ったり・・・

でも、今日は特別だった。

今日はお母さんとお父さんの結婚式なのだ。
とは言っても、いるのはガラの悪い人ばかり。
お父さんの仕事仲間や古い友達なんかもいるんだそうだ。

お母さんとお父さんの愛の誓いを皆で見守る。

幸せそうな2人を見ていると、
私も嬉しかった。
水菜も菜々姉ちゃんも同じ気持ちのようだった。

あれ?
そういえばさっきから菜瑠君がいない。
どこいったんだろう。
そういえば式場に入る前に一回会ってから見てない。
私はトイレと言って抜け出して菜瑠君を探しに行った。

一通り見て回ったがまったく見あたらなかった。

「あれ?」

自販機の前の椅子に誰かいる。
あ、あの後姿・・・

「菜瑠君?」

菜瑠君は急に声をかけられてびっくりしたのか、体が少しびくっとなった。

「えっ!あぁ、悠さんか。
どうしたんですか?」

「それはこっちのセリフだよ。
菜瑠君は式に出ないの?」

そう問いかけると、少し悲しそうな顔をした。

「俺にはあんなきれいな場所に入る資格なんてないんです」

「えっ?」

「俺、捨て子なんです。汚い子なんですよ。
昔、親に捨てられたんですよ。
まだ俺が5歳くらいのころ、でしたっけ。
俺の母親と木下さんは知り合いだったみたいで、俺は木下さんの家で預かってもらうことになったんです。
今は一人暮らしですけどね」

「そっか。
そうなんだ・・・」

「はい、だから
悠さんは式に戻ってください」

菜瑠君が真剣に言うから、仕方なく戻ることにした。