それから私は、水菜の部屋に向かう。

コンコン。

ノックをすると水菜のだらしない声が聞こえる。

「あいてるー」

その声を聞いて私はドアを開けた。
少し緊張していた。
だけど、水菜はいたって普通だった。

「あれ、悠。
来てたのかー」

「うん、
水菜に用事、あってさ」

水菜は一瞬考える動作をし、分かったように声をあげた。

「あ、もしかして
返事しに来てくれた?」

「うん」

「なになに?」

わくわくするように聞いてくる。
私は息を吐き出して答えた。

「私、水菜の事好きだよ。
だから・・付き合いたい」

水菜はほほえんだ。
そして、私に向かって手を差し伸べてきた。
もちろん私はそこに手を置いた。

するとすごい力で引っ張られ水菜の胸の中にすっぽり入った。
水菜が私の背中に手をまわして優しく抱きしめてくれたから、私も手を回した。

しばらく抱き合うと、
水菜は私の首すじに顔をうずめ、吸い上げた。

「んんっ」

水菜は赤くなったそこを指でなでながら、

「これ、俺のもんって証。
悠がとられないように、虫よけ」

そう言った。
私はクスッと笑い、可愛いなとただそう思った。

私はただ水菜と幸せに暮らしたいそう願った。

幸せ。
この時はその思いでいっぱいだった。

この時は・・・