学校の帰り道。
水菜に返事をしに行くため、私は木下家へ向かっていた。
「ゆ~うちゃん!」
いきなり誰かに肩をたたかれて思わず、体がはねる。
後ろを振り返ると、
「勝真さん!」
「よ、悠ちゃん。
水菜ん家行くんだろ?
一緒に行こうぜ?」
そして私の前を歩きだす。
「あの、勝真さんはなんで水菜の家に?」
「んー?
菜々に呼ばれてさ。暇で仕方ないから、どっか行こうって」
こんな遅くから・・
さすがは菜々姉ちゃん。
こんな事日常茶飯事なんだろうな。
それに付き合う勝真さんも優しい人だな。
「あ、言っておくけど、俺優しくないから。
菜々とは大親友だから特別なだけ。
俺、ここらじゃ"手加減を知らないドS"の松本で通ってるから!」
ドSには見えないけど・・
人は見かけによらないな。
「悠ちゃん、どうでもいいけど
全部声にでてるよ?」
「えぇ!
す、すいません・・・」
「いや、いいんだけどね」
ドSって呼ばれてるんだから
それは怖いで強いんだろうな・・・
「悠ちゃん、水菜の事好き?」
「え?」
突然そんな事を聞かれてびっくりする。
「いや、どうなのかなって」
勝真さんは、
少し背伸びをして
「水菜の事、よろしく頼むよ」
一瞬真剣な顔をしてそう言った。
でも次の瞬間には元に戻っていた。
「ほら、俺は菜々のお世話で手がいっぱいだからさ」
「そうですね」
勝真さんが優しく微笑むから、
自然と私も笑顔になった。
しばらく話をしながら進むとすぐ水菜の家についた。
勝真さんはためらいなくドアを開け、中に入っていく。
私はいいのかなと思いながらも、一緒に入った。
「いらっしゃーい、悠」
中に入ると菜々姉ちゃんが立っていた。
どうやら勝真さんと出かけるようだ。
「いってきまっす!」
私が入ったのと入れ替わりでお姉ちゃんは出て行った。

