それから家に帰り、お母さんと夕飯を食べていた。
お母さんは、不思議そうな顔で私を見ていた。
「何?」
私がそう聞くと、お母さんは微笑んで
「ん?いや、悠と水菜君付き合うのかなって!」
「え?」
「だって、水菜君は悠のこと好きでしょ?
で、悠も水菜君の事が好き・・・
これって両想いじゃない!」
両思い・・・?
私と水菜が?
「何でそう思うの?」
私がそう聞くとお母さんはきょとんとして
「何でって・・・
2人を見てたら分かるわよ。
あんなに仲良いじゃない!
それに、水菜君って悠にメロメロじゃない!
違うの?」
違うのかといわれても、私にはそんな事わからない。
確かに、仲は良いと思う。
でも、兄弟だよ?
これから、家族になるんだよ?
「・・・わかんない。」
そう呟いて、席を立つ。
「あら、もういらないの?」お母さんは陽気な声でそう言い片付け始めた。
「あ、悠?」
部屋を出ようとした私にお母さんは声をかけてきた。
足だけ止めて返事だけした私にお母さんはため息を吐いた。
「ねえ、お母さんは悠が何に悩んでいるかなんて分からないけどね。
一つ言える事は、水菜君は悠の事本気で好きなのよ。
それは兄弟になる人とか関係ない。水菜君はあなたを一人の女の子として見てる。分かる?
あなたは水菜君を男として好きなのか、家族として好きなのかはっきりさせなさい。」
お母さんはあたしの後ろ姿をずっと見つめてる。
視線が痛すぎる。
私は何も言わなかった。
お母さんは、また片づけを始めた。
だから、あたしも部屋を出ようとドアノブに手をかけた。
その時、お母さんが
「水菜君はまだ兄弟じゃないのよ。」
それだけ言った。
私は何も言わず部屋を出た。

