やっぱり、高杉先輩だった。
「俺さ、嘘も冷やかしも人生で一回しか言ったことないけど」
「そんなつまらない嘘を言ってる時点であたしは先輩の言うことが信じられません」
「冷たいな、真白ちゃん」
「別に」
「でもいいんだ、俺。あの時手振り返したことも笑顔も見ちゃったから」
「………っ」
「可愛い」
(やっぱりあの時、手なんて振らなきゃよかった)
今ものすごく後悔してる。
「ちょっとコウ、あんた真白ちゃんと付き合ってんの?」
「えっと「付き合ってません!!」
ゆかり先輩の質問に高杉先輩より先に答えた。
だって、高杉先輩に言わせたら変なこと言われそう。
「そっかぁ、良かった」
「んなわけないですよ、先輩!」
「俺は全然良いけど」
(は?)
さらりと言う高杉先輩にあたしは頭を押さえた。
「やっぱり付き合ってんじゃない?」
なっちゃん先輩が口を開く。
「うん」
「は…?」
今、何て――?
優香子がヒューと口笛を吹く。
「何しょうもない嘘ついてんですか!」
あたしは後ろにいた先輩の腹にひじ突きを入れた。
「いっ…」
「くだらない冗談なんて言わずに、元の場所へ戻ったらどうですか?」
小さく悲鳴を上げた先輩を横目で見ながら、あたしは親指で示した。
先輩の後ろに並ぶように待っている一、ニ年生の女子。
そりゃ知り合いもいて、あたしはその子達に睨まれるような目つきでずっと見つめられていた。

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