「コウが真白ちゃんを?!」
「そうなの!毎日毎日『真白ちゃん、真白ちゃん』ってうるさいんだよ?」
「へぇ……」
―――「って、何を納得してるんですか実奈先輩?!」
あたしの叫びに実奈先輩がニヤリと笑う。
葵先輩はさっきから変なことを実奈先輩に吹き込んでる。
「いいじゃん。本当のことなんでしょ?」
「は?ちょっと葵先輩!どうにかして下さい!」
「それでね…?ついには『俺告る』とかまで言い出して……」
「ちょ…っ!しかもそれ尾ヒレつきすぎでしょ!」
あたしの反応に葵先輩たちは面白おかしいくらいに笑う。
「必死になりすぎ、真白ちゃん」
「え?」
「冗談だって、そんなこと分かってるよ」
実奈先輩がそう言ったことであたしはヘナヘナと力が抜けた。
(からかわれたんだ…)
「でもコウは本気なんでしょ?」
「うん」
あたしはまた顔を上げる。
「そんなことあるわけないですよ!
知り合ったばっかだし。
第一、あたしは女子ではなく男子として見られてるから…」
「そう思ってるのは、一部の馬鹿な男子と真白ちゃんだけよ」
実奈先輩が人差し指を立てながらあたしに近寄る。
「真白ちゃんを好きな人、絶対いるよ」
「な……!!だってあたしモテないし…」
「そんなの分からないでしょ?実はモテるんだって」
「だからあたしがモテるわけがない……」
そう。
こんな男勝りなあたしがモテるはずがなくて、
――――あれ?
モテる、モテない……。
これはあたしがつい最近まで悩んでいたことだよね。
『真白のモテ期は――――――と、今年!!!』
あたしは今年、
「真白ちゃん、これはモテ期が来たんだよ」
葵先輩が興奮したように言う。
(あたしに、モテ期?!?!)