そんな想いも、何も伝えられないまま過ぎて行った時間は約十年。
出逢って十三年、
想いに気づいて十年。
素直じゃないあたしは、
どうしようもない小心者。
「あーあ…暑いね…」
舞が下敷きで風を送る。
奈緒美があたしの机にグターと倒れ込んだ。
「夏休みだね、もうすぐで」
あたしの言葉に依弥が反応した。
「そっか、もうそんな時期か…」
依弥が見たのはカレンダー。
6月の星座の写真を載せた一枚の紙はヒラヒラと舞の風にのって舞う。
目に入る数字は“29"。
もうすぐ、7月がやってくる。
「うちね、今このメンバー大好きなんだ」
甘えん坊で、少し我が儘なところがある奈緒美が嬉しそうに言った。
「そりゃどーも」
あたしは何だか照れ臭くなる。
依弥とあたしは奈緒美と小学校が違ったからまだ2年目。
それに比べ舞は奈緒美と幼稚園から一緒。
しかもクラスも全て。
舞が大好きな奈緒美は四六時中舞といる。
「今年の夏はこの4人で遊ぼうね」
我が儘だけど、人一倍友情に熱くて、明るくてね…。
奈緒美と一緒にいると、元気になれるんだ。
「やった…増えたぁ…!」

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