『期待じゃなくて願っていればいいんだよ』
そう言っていたんだ。
そしてその後にまたわからないフランス語を口にした。
期待じゃなくて願う。
そして願っていれば、――――叶う……??
諒太が本当にそう思っていると願っていればいいってことになる。
信じる信じないの問題じゃない。
それは、あたしの気持ちの問題だった。
「でももしも…もしもあたしが信じたらどうするの?」
これが精一杯の自己表現だ。
手袋をはめていない手は氷のように冷えていく。
「どう……するの…?」
見てられなくて、あたしは下を向いた。
自信が無くなってきた。
(どうしよう……っ)
どんどんネガティブ思考になっていく。
(もういっそ、『なんちゃって』とか言って帰るか)
そんな考えが頭を過ぎったときだった。
「お前のことを『真白』って呼ぶ」
「えっ……」
(今、なんて……?)
久しぶりに『真白』と言われた。
頭は既に思考停止。
何も考えられない。
「お前に言うことがある」
「……むら…の?」
「………信じるのか?」
いつになく真剣な顔つきだった。
真面目な顔で、その瞳に吸い込まれそうで。
目が逸らせない。
あたしは、村野を―――諒太を信じたい。
「信じるよ」
もう一度あたしは進む。
『諒太』と、明るい笑顔で話し掛ける。
ケンカすることになっても、どんなに間違っても『村野』なんて言わない。
だから諒太、
もう一度、
「…俺はさ……真白に隣にいてほしい」
『真白』って呼んでください………。

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