ちぐはぐ遠距離恋愛




はぁとため息をつきベンチに座る。

起きそうにない男たちを見て
(やりすぎた?)と思っていたときだった。


「おい、何休んでんだよ」


頭上から覆いかぶさるように包まれて、上を向く。

声の主は、不機嫌そうな顔であたしを見ていた。


「行くぞ」

「あっ、ちょ…っ」


ぐいっと手を引かれて、ベンチから離れる。

手を繋いでいるのだが、それでもあたしは隣には並ばず少し後ろを歩いていた。

また人込みの中に入っていく。


「あんさ、痛いんだけど」


突然そう言われた直後、繋がれた手をブンブンと揺らさせた。

だけどよく理解できず、「何が?」と聞き返す。


「この体制、繋ぎ方」

「あ…!!」


ようやっと、諒太が腕を後ろに回して歩いていたことに気づいた。

慌ててあたしはその手を握る力を弱める。


「ごめん」


諒太の手からスルリと抜けだそうとして、腕を引っ込めたときだった。

諒太はクルリと踵を返し、体ごとあたしに向いた。

(…え…?)

そう思ったときには、引っ込めたばかりの手を引かれる。


「そーゆーことじゃねぇんだけど」


あたしの耳元でそう囁いた。

顔に熱が篭って、そのまま諒太の隣にまで引っ張られる。


「離したらまたはぐれんだろーが」

「…でもっ」


(さ、さすがに手を繋ぐのは海来ちゃんに悪い!)

気持ちではそれを拒んでいた。


「いいから俺の隣にいろ!」


そう力強く言われてあたしはビクリと反応する。


『俺の隣にいろ』

その言葉に、考えがあやふやになった。

信じていいのかわからない。

この言葉に従った場合、あたしはずっとこいつの隣にいれるのだろうか……