ちぐはぐ遠距離恋愛




「じゃな真白」

「………うん」


もう一度父さんの手が頭の上に乗る。

でも、もうあんな不安は感じない。
(これからは父さんに会えるんだから)


「そうだ真白…」

「何?」


父さんは思い出したように口を開けた。

微笑みを浮かべながら、「期待じゃなくて願っていればいいんだよ」と言う。

落とすように言われたもんだから、あたしは零さないように拾いとった。

そして同じように繰り返す。


「期待じゃなくて、願う?」

「そうだ」


頭の上で手をわしわし動かされた。











「Il vient vrai certainement si je continue prier」













(はっ?何語?!)


そう思うあたしを置いて父さんは歩き出した。



「じゃーな!!」

「あっ、ちょ……っ」



すたすたと走って行ってしまった。


「どういう意味だよ…」


聞き取れもしなかった単語を考えられるわけもなく、あたしは悩みながらマンションの中に入った。


「真白………」


エレベーターの中で母さんが朧げにあたしの名前を出す。


「……何?」

「宣翔と会っていたい?」

「…うん…」

「ずっと、そうだったの?」

「あぁ…」

「宣翔と、暮らしたい?」

「はっ?!」


あまりの変な質問に振り向いた。

(父さんと、暮らす?………って、何?!)


「それは……考えたことがない」

「そう…」


それを聞いた母さんは安心したような、してないような複雑の表情になった。

でも別に、――「暮らさなくてもいい」



「えっ?」



チーンとエレベーターが開いた。