「あたし一人ぐらい、幸せにしてよ……っ」
涙が頬を伝った。
もう限界。
愛が欲しくてたまらない。
この人の温もりがあたしを癒してくれる。
一人ぼっちの世界はうんざりだった。
あたしを癒してくれる…幸せにしてくれるはずの者はどんどん離れていく。
一人で用意して、実行して紛らわすのにはもう疲れてしまった。
「ごめんな、真白」
「………っ」
「俺らが悪かった」
(違う…)
こんな謝罪が欲しかったわけではない。
あたしはただ……
裏切らない約束と、満足できる温もりと愛があればいい。
「約束するよ」
“約束”の四文字に思いをかける。
あたしの願いが叶うなら、なんでもいい。
「一週間に一回、必ず道場に来る」
「ほんっ…と?」
「男に二言はないからな」
―――――――――…………
「送ってくれてありがとう」
「いや、楽しんでこいよ」
「う「真白!!」
後ろから声が聞こえた。
視界に入ったのは、母さん……。
「…りと…」
父さんの姿を見た母さんは途中で止まった。
ペコリとお辞儀をしたあと、あたしに微笑む父さん。
「……なんで、いるの?」
「真白を送ってきたからだ」
「会ってたの?」
「道場でな」
「そう……」
あたしは一人、何もできなかった。
「夕南……」
父さんの、―――男の声――――を聞いた。
母さんもハッとして顔を上げる。
その顔は切なさの中にも、別の何かが隠れていた。
(でも、何で……?)
それが分かったのはいいが、理由は見つからない。
「………綺麗になったな…」
ドクンと脈を打つ。
やっぱり、あたしの考えは間違いない。
でも、それなのに何故二人がこんな結果になったのかは、……知らないほうがいいのだと悟った。

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