ちぐはぐ遠距離恋愛




真ん中に置いたケーキを囲むようにフォーク等を並べて座る。

すべての準備が整ったとき、あたしはふとあることに気づいた。



「あれ?」


その声に知葉さんが振り向く。


「どうしました?」

「にーしーろーやー…やっぱり」


机の上にあるフォークにコップ、お皿と椅子。

ここにいるのは八人。

なのに、指を使って数えてみれば全部で九こ。


「一つ多いよ?」

「「ゲホッ…」」


師範に先輩たちがむせだす。

それだけじゃなく、後輩らも目を逸らす。


「あと誰が来るの?」

「………」


全員で無視。
誰一人あたしと顔を合わせようとしない。

眉間に皺が寄った。


「答えなよ…慎汰[しんた]」

「えっ!俺?!」


小さいときから面倒も見ている後輩を睨んだ。


「あたしに逆らえるわけがないよね?」

「ひでーよ先輩!師範に聞いてくれ!」

「わ、わしは何もしらない!」

「みんな知ってるんだ」

「真白先輩、内緒だよ内緒」


奈々が慌てて声を出した。

それでも納得なんてするわけがない。

ケーキを目の前にして、一つ空いた空席を見つめる。


あたしが知らない先輩なんていない。
そもそも、隠すこと自体がおかしい。

(…一体…誰??)


頭をフルに回転させて考えていた時だった。

その時、微かに物音が聞こえて立ち上がり、扉を眺める。

誰かが近づく足音がはっきりと耳に入ってきて、心臓の動きは加速した。

血液が流れるのが分かって、握った手が汗ばむ。

足音はついに、扉一枚挟んだ向こう側で止まった。

隙間から指先が見えて、思わず姿勢を作ってしまう。

勢いよく扉は開き、向こうの白い光りが差し込んだ。